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2013.01.31

外郎売り覚書

ちょっと外郎売りについて調べていたら、

何気に鼻濁音とか無声音について言及しながら書いているテキストって稀なんだと知りました。

まぁ、無声化なんかは厳密なルールがそれほどなく、例外がもの凄くあるので人の読み方や癖によってしまうからかもしれませんが。 

自分自身で練習用のテキストを作ってやっていますが、ウェブにもあると何かと便利なので纏めてみようと思います。 


拙者親方と申すは、御立会の内に御存知の御方も御座りましょう、御江戸を発って二十里上、相州小田原一町を御過なされて、青物町を上りへ御出でなさるれば、欄干虎屋藤右衛門、只今では剃て圓斎と名乗りまする。
元朝より大日まで御手に入れまする此のは、昔、ちんの国の唐人外郎と云う人、我朝へたり。帝へ参内の折から此のを深込め置き、用ゆる時は粒ずつ冠の間より取り出だ。依ってその名を帝より「透頂香」と賜る。即文字には頂く・香と書いて透頂香と申
只今は此の、殊の外、世上に広まり、方々に偽看板を出だ、イヤ小田原の、灰俵の、さん俵の、炭俵のと色々に申せども、平名を以って「ういろう」と記せは親方圓斎ばかり。もしや御立会の内に、熱海か塔ノ沢へ湯治に御出でなさるるか、又は伊勢御参の折からは、必ず門いなされまするな。御上りなればの方、御下りなれば左、八方八つ棟、面三つ棟、玉堂造、破風にはに桐の薹の御紋を御赦免あって、系図正で御座る。
イヤ最前より家名の自慢ばかり申ても、御存知無い方には正真の胡椒の丸呑み、白河夜船、されば一粒食べ掛けて、その気味合いを御目に掛けましょう。
先ず此のを斯様にの上に乗せまて、内へ納めますると、イヤどうも言えぬわ、胃・心・肺・肝やかに成りて、薫風喉よりたり、口中微涼を生ずるが如。魚・鳥・茸・麺類の食い合わせ、その他万病即効在る事神の
さて此の、第一の奇妙には、の廻る事銭ごま裸足で逃る。ヒョッと廻り出すと矢も盾も堪らぬじゃ。
そりゃそりゃそらそりゃ、廻ってたわ、廻ってくるわ。アワヤ喉、サタラナ舌にカサ歯音、ハマのつは唇の軽重。開爽やかに、アサタナハマヤラワ、オソトノホモヨロヲ。一つへに、へはじかみ、盆豆・盆米・盆牛蒡、摘蓼・摘豆・摘山椒、書写山の社僧正。小の生み、小の生み、こん小のこ生み。
繻子・緋繻子、繻子・繻珍。親も兵衛、子も兵衛、親兵衛・子兵衛、子兵衛・親兵衛。古栗の木の古切り。雨羽か番羽か。様の脚絆も革脚絆、我等脚絆も革脚絆。革袴のっ綻びを、三針針長にちょと縫うて、縫うてちょとぶん出せ。河原撫・野、野良如来、野良如来、三野良如来に六野良如来。一寸先の御小仏に御蹴躓きゃるな、細溝にどじょにょろり。京の生鱈、奈良生真名、ちょと四五貫目。御茶立ちょ、茶立ちょ、ちゃっと立ちょ。茶立ちょ、青竹茶筅で御茶ちゃと立ちゃ。
来るわ来るわ何来る、高野の山の御小僧、百膳、天百杯、棒八百本。
、馬、武、三武、合わせて武、六武、栗、、栗、三、合わせて、栗、六、ごみ、、ごみ、三麦ごみ、合わせて、ごみ、六麦ごみ。
あの押の長薙刀は誰押の長薙刀ぞ。向こうの胡麻は荏の胡麻か真胡麻か、あれこそ本の真胡麻
がらぴぃがらぴぃ風。起きゃれ子法、起きゃれ小法、ゆんべも溢てまた溢た。たぁぽぽ、たぁぽぽ、ちりからちりから、ったっぽ、たっぽたっぽ一干蛸。落たら煮て食お、煮ても焼いても食われぬ物は、五・鉄灸、金童子に、石・石持・虎・虎。中にも東寺の羅生門には、茨木童子が腕掴んでおむしゃる、彼の頼光の膝元去らず。
鮒・金柑・椎茸・定めて後段な、蕎麦切り・素麺、饂飩か愚鈍な小新発知。小棚の小の小桶に小味噌小有るぞ、小子小持って小って小寄こせ。おっと合点だ、得田圃の川・神奈川・程谷・戸って行けば、やいとを擦り剥く三里ばかりか、藤沢・平・大磯しや、小磯の宿を七つ起て、早天早々、相州小田原、透頂香。隠れ御座らぬ賎群衆の、花の御江戸の花ういろう。
アレあの花を見て、御を御和らやと言う、産子・這子に至るまで、此の外郎の御評判、御存じ無いとは申されまい。まいまいつぶりまいつぶり、角出せ棒出せぼうぼう眉に、杵擂鉢ばちばちぐぅわらぐぅわらぐぅわらと、羽目を外て今日御出での何茂様に、上ねばならぬ、売らねばならぬと、息せいっ張り、東方世界のの元締、師如来も照覧あれと、ホホ敬って外郎はいらっしゃりませぬか。


色分けは、鼻濁音無声音例外的な有声音、としています。

例外的な無声音や連母音、長母音についても自分のテキストには関して書き込んでいるのですが、

やたらと見にくくなるのでやめました。

何かに使っていただければ幸いです。

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